【ガスクロ-ガス分析】 |
マルチガスアナライザー(MGA)シリーズ
一台のガスクロマトグラフで多成分ガスを一斉分析できます。
ガスクロマトグラフの歴史の中で、様々なガスの混合試料を一斉分析するという極めて困難な問題です。このマルチガスアナライザーシリーズでは、10ポートバルブを使用して、試料注入、複数カラム切替等を効率的に行い、一台のガスクロで多成分ガスを一斉分析できるシステムを取りまとめました。
◆マルチガスアナライザー#1(MGA#1)
・計量管付ガスサンプリングバルブ ・TCD検出器 ・Rt-Qbondキャピラリーカラム |
本マルチガスアナライザー#1は、1回の注入でH2,O2,N2,メタン,CO,エタン,CO2,エチレン,Nox,アセチレン,プロパンン,ブタン,ペンタン,C6-C8などの多成分ガスを分離できます。
3,4本のカラム、3,4個のバルブを使う複雑なシステムと違い、MG#1は1本のカラムと1個の計量管付ガスサンプリングバルブで構成されていますので、ユーザーはプログラムの変更により容易に分離の微調整、溶出時間の変更ができます。
MG#1の基本構成はTCD検出器を装備し、50-100,000ppmレンジのCO,CO2及び全ての炭化水素の検出が可能になります。更に高感度が必要な場合はFID又はHID検出器を追加搭載できます。
◆マルチガスアナライザー#3.1 (MGA#3.1)
MGA#3はMGA#1と類似したシステムですが、カラム第1系のキャリヤーガス流を止める為の電磁バルブが組み込まれています。通常サンプリングバルブが『INJECT』位置にある時、電磁バルブが作動してカラム#1の入口と出口に同じ圧力がかかり、ガス流が止まります。
ガス流の停止によって、成分はカラム#1の内部に保持されます。カラム#1のガス流が止まると、通常2本のカラムにかかっていた圧力が1本にかかるので、カラム#2の流量がわずかに増加します。
MGA#1ではカラム#1にはシリカゲルカラム、#2にはモレキュラーシーブ(MS)13Xしか使用できませんでしたが、MGA#3はガス流ストップ機能により、使用できるカラムの種類が増えますので、応用分野も広がります。
◆マルチガスアナライザー#5 (MGA#5)
・熱伝導度検出器(TCD) ・水素炎イオン化検出器(FID) メタナイザー装着可能 ・10ポートサンプリングバルブ 2台 ・0.5m Hayesep Dキャピラリーカラム ・2m Hayesep Dキャピラリーカラム ・2m Moreseave 5Aキャピラリーカラム |
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これは、窒素ガス中に含まれる1%のガス類分析の典型的クロマトグラムです。上段はFIDメタナイザーのクロマトグラムで、下段はTCDです。
ステップ1 バルブ1は“Inject”に回転します。(Relay-G On)キャリヤーガスは、試料をサンプルループから押し出し、5mのHayesep-Dカラムに送ります。
水素、酸素、窒素、メタン、一酸化炭素は分離されず一塊で0.5mHayesep-Dカラムを極めて速いスピードで移動し、1mのモレキュラーシーブ5Aカラムに送られます。
ステップ2 バルブ1は、0.4分で“Load”位置に戻ります(Relay-G Off)。キャリヤーガスは、引き続き水素、酸素、窒素、メタン、一酸化炭素をモレキュラーシーブ5Aカラムを経由して検出器に送り込みます。
またキャリヤーガスはバックフラッシュで、0.5mのHayesep-Dカラム内の残留成分を検出器を通さず排気します。 0.5mのHayesep-Dカラムには炭酸ガス、水、C2以上の炭化水素です。
これらの成分は、モレキュラーシーブ5Aカラムに入った場合は、カラム内に吸着して溶出されません。 しかしながら、Hayesep-Dカラムからは、容易にバックフラシュされます。
ステップ3 バルブ‐2は“Inject”に回転します(Relay-F On)。キャリヤーガスは、バルブ2に装着されたサンプルループ内の試料を2.0mのHayesep-Dカラム内を前方に送ります。
水素、酸素、窒素、一酸化炭素は分離されず一つのピークとして溶出されますが、メタンピークに続き、炭酸ガス、水、C2-C6炭化水素は分離されて検出器に送られ検出されます。
ステップ4 分析中のある時点でバルブ‐2は“Load”位置に戻ります。この反転(バックフラッシュ)はHayesep-Dカラムの流路を逆に戻します。
Hayesep-Dカラム中に残った成分の全ては、逆流して検出器に送られます。例えば、もし炭酸ガスの後ろに成分が無い(あるいは測定の必要がない成分があっても)炭酸ガスピークの後ろでバックフラッシュをかけます。
Hayesep-Dカラム中に残った成分の全ては、一塊でカラムから排出されます。